被害額数千万円!?マンション、アパートでの漏水事故への心構え

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アパートやマンションで生活をする上で自分が被害者にも加害者にもなり得るのが「漏水事故」です。

突然天井から水が垂れてきたり、下階の住人から突然「水が漏れている!」と怒鳴り込まれたり…一度漏水を起こしてしまうと、その解決までには自分やまわりの部屋の入居者、大家さん、管理会社などを巻き込んで多大な時間と労力とお金が必要になります。できればこんな事故には遭遇したくないものですが、災難はある日突然やってくるもの。今回は保険会社の調査でも共同住宅での事故原因の上位を占める「漏水事故」についてその原因や対策について考えてみたいと思います。

漏水の経路は?

漏水事故には雨漏り等の外部からのものを除くと「給水管」からの漏水と、「排水管」からの漏水のふたつのパターンに分けられます。水量による被害が深刻になるのが給水管からの漏水、水質による被害が深刻になるのが排水管からの漏水です。特に給水管からは大量の水が常時供給されるため、下階のみならずさらにその下の階、さらにその下…と時間の経過とともに被害が拡大するおそれがあります。漏水が発生した場合は、可能であればまず給水管からの漏水か排水管からの漏水かを見極めることが重要です。

また、深夜であったり、諸事情ですぐに管理会社や大家さん、修理業者などに対応してもらえなかったり自分で対応できなかったりしたときは自分で応急処置をする必要が出てきます。
給水管からの漏水の場合、応急処置として有効なのは、水道の元栓を閉めることです。元栓のある場所はマンションなどの大規模な共同住宅であれば玄関の扉を開けて扉の隣にあるパイプスペースの中。パイプスペースの無い小規模なアパートや一戸建てであれば敷地内の地面の中にあります。普段から元栓のある場所を確認しておき、いざと言う時に対応できるようにしておきましょう。排水管からの漏水の場合は、応急対応をしたら原因がわかるまでは水は流さないようにしましょう。

自室内で漏水が発生したとき

まずは自分の部屋で漏水が発生した場合について見ていきたいと思います。この場合は漏水の原因によっては下階の住人に対する損害賠償責任を負う可能性があるので迅速に対応しましょう。

 

1.水栓器具からの漏水

キッチンや洗面台、洗濯水栓などの水栓器具からチョロチョロと漏水している場合です。この場合は水栓器具内部のパッキンの劣化の可能性が高いので、大家さんや管理会社にパッキンの交換を依頼しましょう。工具と部品があれば自分で交換することもできます。(「備えあれば憂いなし!水栓器具のパッキン交換を覚えよう」の記事を参照してください。)

 

2.トイレでの漏水

トイレで漏水が発生する可能性がある箇所はいくつかありますが、最も可能性が高いのがタンク内の部品不具合による漏水です。

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タンク内には様々な部品がありますが、中でも「ボールタップ」に不具合が発生すると漏水が起こる可能性が高くなります。ボールタップは給水管からタンク内への水の出入りを制御している部品で、タンク内の水位があがると止水、下がると給水がされる仕組みになっています。この機能が阻害されると、水位があがっても止水がされず、オーバーフロー管による排水が追い付かないとタンクから大量に漏水することになります。また、タンクから便器内へ流れる水を制御している「ゴムフロート」に不具合が発生すると、常時タンクから便器内へ水が流れっぱなしの状態になってしまい、何らかの原因で便器が詰まったりすると便器からの漏水が発生することになります。

このような場合の応急処置としては、タンク横にある止水栓を閉めることで一時しのぎになります。トイレには意外と多くの部品が使われており、この他にも給水管のパッキンやナットが劣化して水漏れが起こるケースもあります。
もしトイレの漏水を発見したら、まずはとにかく水道の元栓かタンク横の止水栓を閉めましょう。元栓さえ閉めれば水が溢れ続けることは無いので、被害拡大を抑えられます。ちなみにトイレの水を節約しようとタンクにペットボトルなどを入れている人が居ますが、こうした異物を入れて置くとそれがタンクの機能を妨害してしまう場合があります。入れる際は注意してください。

トイレットペーパーの流し過ぎや異物を流してしまったことにより便器を詰まらせてしまい、水が溢れ出してしまうケースも多いです。汚物が混じった水が床へ溢れ出したときの精神的ショックははかり知れないものがありますが、この時に焦ってもう一度水を流してしまうのは被害を拡大させるだけなのでやめましょう。水が溢れそうになったら落ち着いて止水栓を閉め、下階への漏水を防ぐために床に新聞紙やタオルなどを敷き詰めましょう。その後に手や針金、ゴムスッポンなどで詰まりの原因を取り除きましょう。また、トイレを流す場合は「小」ではなく、なるべく「大」を使用することをお勧めします。水量が少ないと表面上は流れたように見えても、奥の方で少しずつ詰まりが進行しているケースがあります。

稀なケースですが便器と床の隙間から漏水している場合は、便器と排水管の接合部分に何らかの異常が発生している可能性があります。トイレを流さないようにして水が染み出る場所に新聞紙やキッチンペーパーを挟み込んでください。あくまで応急処置なので長時間は持ちません。早めに管理会社や大家さんを呼んで直してもらいましょう。

 

3.キッチンや洗面台のシンク下の漏水

この場合は大きく分けて「排水管の接合部の緩み」「排水管や排水溝接合部ゴムパッキンの劣化」「排水管の破損」「シンク自体の破損」の4パターンが考えられます。

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排水管の接合部が緩んでいるようでしたら手で締め直せば直りますが、その他の場合は専門の工具等がないと修理できない場合が多いので床に新聞紙やタオルなどを敷き詰めて応急処置をしたら早めに管理会社や大家さんに修理を依頼しましょう。排水管からの漏水は、水を流さなければ発生することは無いので修理が終わるまでは水の使用は控えましょう。

排水管やパッキンに劣化がなくても、普段からキッチンの排水溝の油脂の除去、洗面台の髪の毛の除去などの日常的な清掃をしていないと、排水詰まりによってシンクから水が溢れる場合があります。専用のパイプ洗浄剤などを使用して日頃からの清掃を心がけましょう。

 

4.洗濯ホースはずれによる漏水

下階への漏水事故の中で一番多い原因がこれです。特に洗濯水栓の蛇口は全開にされている場合が多く、蛇口に接続されている給水ホースが外れたことによる漏水被害は大規模なものになります。最近の洗濯水栓器具にはホース外れた際に自動で給水を止める止水ロック機能がついているものが多いですが、ホースをネジで締め付けるだけの従来の器具もまだたくさん存在しています。このタイプにホースを接続する際は、水圧によって外れないか厳重に流水チェックを行いましょう。洗濯中に外出をしてしまい、その間にホースが外れて事故が拡大することが多いので、可能であれば洗濯中は外出を控えるのが望ましいでしょう。

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これが止水ロック機能つきの洗濯水栓。赤丸の部分を「ニップル」と言いますが、この部分のみホームセンター等で購入し、自分で簡単に交換することができます。

排水のホースが外れた場合は、洗濯防水パンがあればある程度は被害を防ぐことができますが、防水パンが無い部屋やホースが暴れたりした場合は給水と同じく大規模な漏水事故つながります。こちらのホースの接続も入念に行うようにしましょう。

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写真の赤丸の部分を「エルボ」と言いますが、エルボには洗濯機パン側と排水ホース側の2つの接続口があります。この2つの接続口がそれぞれしっかりと接続されていないと、水漏れの原因となるのでしっかりと確認しましょう。排水ホース側の接続が甘く、ホースが暴れてしまい漏水するケースが多いです。エルボや排水ホースが劣化してきた場合は早めの交換を心掛けましょう。

 

5.エアコンからの漏水

水漏れと聞くと水道の蛇口やトイレを思い浮かべるでしょうが、実はエアコンにも漏水被害があります。エアコンの水漏れ原因のほとんどは、虫やごみなどによるドレンホースの詰まりが原因となって起こります。

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エアコンから漏水したら、真っ先に屋外に設置してあるドレンホースが詰まっていないかを確認して、ゴミが詰まっていれば取り除きましょう。ドレンホースに虫などが入り込み、詰まりを引き起こすことが多いのでホース先端に目の細かいネットを取付けて防護するのが有効です。

それでも改善しながらエアコンが傾いていないかチェックし、それも違うなら水漏れする所に新聞紙などを当てて応急処置をしたら早めに管理会社や大家さんを呼んで直してもらいましょう。

稀なケースですが、アルミフィンの結露が原因になっていることもあります。アルミフィンとはエアコンのカバーを空けた際に見える銀色の部分です。
長時間エアコンを稼働させた場合に、アルミフィンに結露が出来てポタリと水滴が落ちて来るかもしれません。ほこりが溜まっていても水滴が溜まりやすいので注意しましょう。

エアコンの下にテレビやパソコンなどの電化製品を配置すると、漏水が発生した場合に思わぬ被害を被る場合があります。季節のはじめにエアコンを使用する場合などは特に注意しましょう。

上階で漏水が発生したとき

次に自分の部屋以外で漏水が発生した場合です。

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特に上階の部屋で漏水が発生した場合は、突然壁や天井から大量の水が降ってくることになりパニックになりがちです。 突然のトラブルにも、落ち着いて対処できるようにしておきましょう。
給水管や排水管は、各階できまった位置にまとめて配置されている場合が多いです(浴室の上は上階の浴室、トイレの上はトイレ、など)。自室の浴室周辺の天井や壁に漏水してきた場合は、上階浴室からの漏水を疑いましょう。雨の日に水気の無い場所から漏水してきた場合などは、外部からの雨漏りを疑いましょう。

漏水してきた水が汚れていたり泡立っていたりすれば排水管からの漏水の可能性が高く、また、途切れずに常時水が漏れ続けるようなら給水管からの漏水の可能性が高いです。給水管からの漏水は上階の住人が留守だったりすると被害が深刻になるので、すぐに上階の部屋を訪問し、留守のようならその部屋の水道の元栓の近くにある水道メーターを確認しましょう。メーターがすごい勢いで回っているようなら何らかの原因で漏水している可能性が高いので、被害の拡大を防ぐために水道の元栓を閉めたらすぐに管理会社や大家さんに連絡を入れましょう。

 保険で賄うことが可能

賃貸物件では入居時に火災保険に加入することが一般的ですが、賃貸用の保険にはほぼ100%漏水事故に対する家財保険や加害者になった場合の賠償責任保険がセットされています。被害者になった場合でも加害者になった場合でも基本的にこの保険でカバーされます。

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大規模な漏水事故の加害者となった場合や下階にテナントが入っている場合は、数千万円規模の損害賠償が発生する場合があります。火災保険に加入していないと全額自己負担となってしまうので、保険契約更新時のうっかり失効などにはくれぐれも気をつけましょう。

修理後は乾燥・除菌が重要

漏水箇所を修理した後、そのまま壁を塞いではいけません。 壁が濡れたまま放置してしまうと、材用が波打ったり反って変形したり、カビが発生して変色したりします。

修理後は、除菌・乾燥をおこなってから壁を塞ぐと、時間が経ってもそのまま変形・変色せずに過ごすことができます。 特に配管の水漏れの場合、除菌しないと変色や悪臭に悩まされることになります。

 そのまま放置しておくのはダメ!

賃貸物件の場合、基本的に大家さんが修理費用を負担してくれます。 しかし、水漏れに気づきながら長期間放置していると、被害が拡大し、修理費用も高額になります。そうなると、放置していた入居者の責任が追及されることになるので、漏水に気づいたら、すぐに管理会社や大家さんに連絡しましょう。

それほんとに漏水??

コンクリート造の建物などの場合、部屋の使い方によっては室内の壁や天井に結露が発生することがあります。漏水と勘違いする程の大量の結露が生じるケースもあるので、あわててしまう人もいますがまずは落ち着いて原因を突き止めましょう。

アフターフォローも忘れずに

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不幸にも自分が加害者になってしまった場合は、迷惑をかけた被害者をはじめ大家さんや管理会社への謝罪を忘れないようにしましょう。賠償事故すべてに言えることですが、一旦事故が起きると被害者側が元の生活に戻るまでにはかなりの時間とエネルギーを使わせることになります。特に被害者へのアフターフォローを怠ると思わぬ隣人トラブルに発展してしまうことがあります。特別な事情が無い限りは被害者宅を訪問して直接謝罪をするようにしましょう。

 

いかがでしたでしょうか。

漏水事故の加害者にはならないよう、そして不幸にも被害者になった場合はその被害を最小限に抑えられるよう、普段からの心の準備だけはしっかりとしておきたいものですね。